今回は、GMOグローバルスタジオで実施した「TikTokをプラットフォームとした配信イベント」の裏側をご紹介します。


「TikTok」と聞くと、スマートフォン1つで気軽に行うイメージを持たれる方も多いかもしれません。
しかし、視聴者を惹きつけ、ブランドやアーティストの世界観をしっかりと伝えるためには、テレビ番組さながらのクオリティが求められるケースも増えています。

その鍵を握るのが照明演出です。

常設の設備に加えて、LEDディスプレイやステージサイドを活用した追加照明、さらには緻密な調整を可能にする工夫まで──本記事では、TikTok配信イベントの裏側で行われた照明演出の取り組みを詳しくご紹介します。

「視聴者に強い印象を残す配信を実現したい」「他社との差別化につながる演出を検討したい」とお考えの方は、ぜひご参考ください。

スタジオ照明演出の設計:常設+追加照明で空間をデザイン

GMOグローバルスタジオに常設の照明機材(一例)
GMOグローバルスタジオに常設のカメラ機材(一例)

GMOグローバルスタジオには、撮影・配信に最適化された照明機材が常設されています。

これらの常設機材により、GMOグローバルスタジオでは限られた時間の中でもスムーズに制作が進められます。

しかし、今回のTikTok配信イベントでは、楽曲に合わせた特別な空間演出が求められました。
そこで、常設設備だけでは表現しきれない世界観を創るため、いくつかの工夫を行いました。

取り組んだ照明演出の工夫

  • LEDディスプレイ上に照明を追加設置
  • ステージサイドに単管を取り付けて照明を増設

重要なポイントは、単にステージを明るくするだけでなく、カメラの画角に映り込む「演出としての光」をいかに創り出すかでした。

常設の照明に加えて、LEDの上やステージサイドにも照明を追加で配置することで、出演者を照らすだけでなく、光の動きや色そのものもカメラを通して魅力的な演出として映し出すことができました。

カメラに映り込む光を設計する:演出としてのスタジオ照明

GMOグローバルスタジオの常設照明は、XR演出に最適化されており、人物を美しく照らすことを主眼に配置されています。

しかし、今回のTikTok配信では、単に人物を照らすだけでなく、画面に直接映り込む光そのものを「演出」として活用することも重要なポイントでした。

LEDディスプレイの上に照明を追加

LEDディスプレイの上に照明を追加
LEDディスプレイ上に設置した照明

このようにLEDディスプレイの上に追加で照明を設置することで、LED映像を背景に背負いながら光の演出が可能になり、より立体感のある空間を創り出すことができます。
これらの照明が、楽曲に合わせて動いたり、光の色を変化させたりすることで、視聴者を視覚的に没入させる効果を生み出します。

空間をデザインする、ステージサイドの照明

さらに、LEDがないステージサイドのトラスに単管を追加して照明を設置しました。

これにより、サイドからのショットを撮影した際、映像とは異なる、光そのもので背景を作り出すという演出が可能になります。

ステージサイドのトラスに単管を追加して照明を設置
ステージサイドのトラスに単管を追加して照明を設置

常設のトラスに単管を取り付けることで、通常では設置できない、ステージの高さ全体にわたる照明の増設が可能になります。

これにより、ステージの側面から出演者や背景に光を当てるサイドライトを効果的に配置することができました。

プロの配信照明は調整が命:立ち位置・色味・影のチューニング

照明演出のプログラム、いわゆる打ち込みを行う際、最も重要なことの一つが出演者に対する光の調整です。

今回は、「特定の立ち位置に合わせたライティング」「どこに立っても美しく見えるライティング」の両方を作成しました。

配信では出演者の方に気持ちよくパフォーマンスしていただくため、それぞれの曲の世界観に合わせて、最適な光の当たり方になるよう調整を重ねます。
そのために、私が使っている秘密兵器がこちらです!

マネキンを使った照明調整の様子
マネキンを使った照明調整の様子

GMOグローバルスタジオでは照明の調整にこのマネキンが大活躍します。
実際に人がステージに立つ前に、このマネキンを立ち位置に置いて、照明の向きや光の強さ、色味などを細かく調整します。

マネキンはGMOグローバルスタジオのXにも度々登場しています。
ぜひこちらをチェックしてください。

マネキンは、実際の出演者がいなくても照明調整ができる、非常に心強い存在です。
常に同じ場所に同じ姿勢で立っていてくれるので、一人で効率的に、そして客観的に照明の効果を確認できます。

とくに、光が作り出す影の出方や、色の乗り具合など、繊細な部分の確認には欠かせません。

しかし、マネキンにも弱点があります。
それは、肌の発色が実際の人間と違うため、照明の色や質感の最終確認が難しい点です。

例えば、温かみのあるオレンジ色の照明を当てた時、マネキン上では意図した通りの色に見えても、実際の出演者の肌色では少し赤みが強すぎると感じる場合があります。

そのような時は、最後の手段として、私自身がステージに立って調整を行いました。

鏡で色味を確認する様子
鏡で色味を確認する様子

最終的な肌の色味や質感の確認は、実際に自分でステージに立ち、鏡で光の当たり方を確認しました。マネキンでは確認できない微妙な光のニュアンスを、自分の目で見て、肌で感じて、調整を重ねていきます。

今回の配信では、全45曲の照明演出作成を担当しました。

曲ごとに光の色・動き・エフェクトを最適化することで、被写体の可読性(表情/衣装)を損なわず、背景のLED映像とのコントラストを確保。
編集なしのライブ視聴でも“画の説得力”を維持できる照明設計を実装しました。

各曲の演出を完成させるために1日あたり約4曲のペースで、打ち込みを行いました。

1曲ごとに異なる世界観を表現するため、演出資料を元に光の色、動き、タイミング、そしてエフェクトなど、曲に合わせてプログラムを組んでいきます。

例えば、アップテンポな曲では照明が激しく点滅するエフェクトを多用し、バラードではゆったりと色が変化するムービングライトで繊細な感情を表現するなど、楽曲の持つエネルギーを光で後押しすることに注力しました。

LEDディスプレイと照明の最適化:吸光・反射への対応策

GMOグローバルスタジオのLEDディスプレイ

今回の配信で特に苦労した点の一つが、「LEDが光を吸収しやすい」という特性です。


XR演出では、LEDの光の反射率が高いと、映像の合成に影響を与えるため、反射を抑えることが重要になります。
しかし、照明のみの演出においては、光が反射する方が、より華やかで美しい画になります。

この課題を乗り越えるため、LED映像なしの楽曲に対しても映像を追加していただくなど、ご協力いただく場面がありました。

この経験から得られた最大の教訓は、「背景としてのLED映像は極力ある方が映える」ということです。
特に明るい印象の楽曲では、LEDの鮮やかな映像と照明の光が一体となり、相乗効果でよりダイナミックな世界観を創り出すことができます。

LED投影なしの演出に対しても、今後さまざまな手法を試行錯誤し、LEDと照明の融合をさらに進化させて、より良いスタジオを目指していきたいと思います。

照明演出もGMOグローバルスタジオにお任せください!

GMOグローバルスタジオでは音楽番組さながらの本格的なステージ演出照明を作り出すことが可能です。

「照明演出」は、配信の印象を大きく左右する重要な要素です。

今回のイベントでは、

  • 常設機材に加えた追加照明で空間を演出
  • LEDディスプレイと光の融合による立体的な世界観
  • マネキンや鏡を活用した緻密な調整
  • 楽曲ごとに最適化されたライティングプログラム

こうした工夫が重なり、視聴者を惹きつける配信を実現することができました。

GMOグローバルスタジオでは、配信環境の提供だけでなく、照明演出もトータルでサポート。
「ただ配信する」から一歩進んで、「視聴者の心に残る配信」をご一緒に作り上げます。

『配信演出』で差をつけたい!

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そのようなご要望がありましたら、照明演出もGMOグローバルスタジオにお任せください。
まずはお気軽にお問い合わせください。