ライブコンサートはもちろん、IRイベントや決算説明会など、生配信が当たり前になった現在、最も避けなければならないのが「本番中のトラブル」です。

GMOグローバルスタジオではIRイベント・決算説明会を含む生配信を年間20件以上運用しています。

映像の乱れや音声の途切れが致命的であることは言うまでもありません。しかし、イベント中に「絶対に落ちてはいけない」のは照明も同じです。

ひとたび照明トラブルによって登壇者の顔が真っ暗になったり、演出が止まってしまったりすれば、視聴者の没入感は削がれ、最悪の場合はイベントそのものを中断しなければならなくなる可能性もあります。

生配信で照明トラブルを防ぐためには、照明制御を「止まらない前提」で設計することが不可欠です。
GMOグローバルスタジオでは、操作卓・ネットワーク・出力装置のすべてを冗長化することで、本番中でも暗転しない照明インフラを構築しています。

本記事では、生配信スタジオの現場で実際に運用している、照明制御の冗長構成とバックアップ設計の考え方を解説します。

「絶対に止めない」ための照明ネットワークの裏側をご紹介します!

生配信スタジオの照明ネットワークと冗長構成

なぜ生配信・IRイベントで“照明トラブルを防ぐ”ために冗長化が必要なのか

一般的なイベント会場では、1台の操作卓(照明コンソール)で運用されることも少なくありません。
しかし、操作卓のフリーズや機材の故障は、どれほど高価な機材を使っていてもゼロにはできません。

特にIRイベントや決算説明会、生配信番組では、
「一瞬でも止められない」「やり直しがきかない」
という厳しい条件が課されます。

照明が止まるということは、単に暗くなるだけではありません。
登壇者の表情が見えなくなり、演出が破綻し、イベントの進行そのものが成立しなくなるリスクを伴います。

そのため、GMOグローバルスタジオでは照明制御を単一構成で運用しないことを前提に、冗長化を設計しています。

「冗長化(じょうちょうか)」とは?

万が一に備えて予備のシステムを準備し、トラブル時に切り替えられるバックアップを構築しておくことを指します。

grandMA3による「セッション運用」:2台で1つの司令塔を作る

GMOグローバルスタジオでは、世界標準の照明コンソールであるMA Lighting社の「grandMA3」を採用しています。

メインコンソール「grandMA3 Light」
grandMA3 Light
バックアップ「onPC 2Port Node 2k」
onPC 2Port Node 2k

照明コンソールは以下の2系統で構成されています。

  • Main: grandMA3 Light(メインコンソール)
  • Sub: onPC 2Port Node 2k(バックアップ)

これら2台を「セッション運用」という仕組みで繋いでいます。

これは、2台の機材が常に全く同じデータを共有し、リアルタイムで同期し続ける状態です。

万が一、メインの機材にトラブルが発生しても、バックアップ機が即座に制御を引き継ぎます。
オペレーターが慌てて配線を繋ぎ直す必要はなく、演出が途切れることもありません。

LumiNodeが実現する「絶対に暗転させない」仕組み

照明制御において、もう一つ重要なのが、実際に照明器具へ信号を送る「出力装置」です。

GMOグローバルスタジオではネットワークの末端で、実際に照明器具へ信号を送る部分にはLuminex社の「LumiNode 4」を設置しています。

これが、照明制御信号出力を支える「最後の砦」となります。

出力装置「LumiNode 4」の裏面
出力装置「LumiNode 4」の表面

出力保持機能

通常、操作PCやコンソールからの信号が途絶えると、照明は即座に消灯してしまいます。
しかしLumiNode 4には、直前の信号を保持する機能が備わっています。

通信に不具合が起きても、照明は消えることなく、直前の明るさや色をキープします。

このわずかな猶予があることで、お客様にトラブルを気づかせることなく、安全にシステムを復旧させることが可能になります。

【進化するインフラ】ネットワーク二重化へのロードマップ

照明の司令塔から各機材へ信号を届ける「ネットワーク」の安定性も、重要なポイントです。

当スタジオでは、信頼性の高いスイッチングハブLuminex社の「GigaCore」を軸としたネットワークを構築しています。

現在、GigaCoreを2台体制にするアップデートを計画しています。
1台のハブが故障しても、もう1台が即座に通信を維持します。

スイッチングハブ「GigaCore」

2台のGigaCoreによる「機器の冗長化」を計画中

GigaCoreを2台にし、さらなる冗長化を計画中

現状の1台運用では、万が一ハブ本体にトラブルが起きた際に物理的なケーブル差し替え作業が発生する可能性が残っています。

前述のLumiNodeの設定により暗転という最悪の事態は回避できるよう設計されていますが、「より安全に、より確実に」運用できるシステムを追求し、インフラのさらなる強化を計画しています。

物理的な断線に強い「リングトポロジー」の採用

あわせて、LumiNodeの配線についても、複数の機器を輪のように繋ぐ「リングトポロジー」への移行を計画しています。

これにより、万が一ケーブルが1本断線したとしても、信号が逆回りのルートを通って各機材に届き続けます。

機器本体の故障だけでなく、現場で起こりうる物理的な事故に対しても、二重の防御線を張ることで「絶対に止めない」スタジオへと進化し続けています。

お客様の「笑顔」と「感動」を創造するために

私たちが徹底して「絶対に止めない」にこだわる理由。それは、GMOインターネットグループのフィロソフィーである*「お客様の『笑顔』『感動』を創造する」という誓いがあるからです。

最先端の機材を揃え、目に見えないバックアップシステムを張り巡らせるのは、単なる技術的な追求ではありません。

みなさまが「もしトラブルが起きたらどうしよう」という不安から解放され、本番のパフォーマンスに100%集中できる環境を作ること。

そして、その先にいる視聴者の皆様に、最高の「感動」を届けること。

「絶対に止まらない」という確かな安心こそが、最高の笑顔を生むための基盤になると私は信じています。